青色事業専従者と配偶者控除

青色事業専従者と配偶者控除は併用できない

 

 

個人事業主が「生計を一にする」人、つまり同居の家族の場合のように一つの家計で生活している人、たとえば奥さんに、その事業を手伝ってもらっていることで給料を払ったとしても、その給料は必要経費にはなりません。

 

これが所得税法の原則です。

 

しかし、青色申告をする個人事業主の場合は、税務署への事前の届出を条件として、事業に専従する、つまり他に仕事を持たない生計を一にする家族に払う給料を必要経費にすることができます。

 

一方で、所得税には配偶者控除や扶養控除があります。これは納税者と生計を一にする親族で年間の合計所得金額が38万円以下の人がある場合に、これら親族一人あたり38万円(通常の場合)をその親族を扶養する納税者の所得金額から差し引いて、所得税を計算するというものです。

 

しかし、青色申告者が事業専従者に給料を払って必要経費にした場合には、その事業専従者である親族について配偶者控除や扶養控除を適用することはできません。

 

青色事業専従者給与の必要経費の特典は配偶者控除や扶養控除と併用することができないということです。

 

事業主ではない夫の控除対象配偶者になれるか

しかし、次のような疑問が生じます。

具体的な例で説明します。

 

家族経営のお店が代替わりして息子が事業主に、両親が青色事業専従者になりました。お父さんには月給25万円、お母さんには8万円払っています。この金額は二人の仕事の内容に応じて決めました。その結果、お父さんの年間所得は給与所得控除を計算すると192万円、お母さんは31万円になります。

 

このお母さんへの給料は息子の必要経費にしてありますので、お母さんについて、息子が扶養控除を受けることはできません。

 

でも、このお母さんについて、事業主ではないお父さんが配偶者控除を受けることができるのではないでしょうか。これが疑問です。

 

お母さんの給料を必要経費にしているのは息子で、お父さんの所得計算とは、また別のことのようにも思えるからです。

 

所得税法2条1項33号を見ると、配偶者控除の対象となる控除対象配偶者からは、青色事業専従者で専従者給与の支払を受ける人を除くとされています。

 

つまり、納税者の配偶者で、合計所得金額が38万円以下である人が控除対象になるが、青色事業専従者として給料の支払いを受けた人はだめですということです。

 

ところが、この青色事業専従者というのが、お父さんの事業専従者という意味なのか、それともお父さんとは別人である息子の事業専従者である場合を含むのか、この条文は読もうと思えばどちらとも読めます。

 

答えは所得税法基本通達2-48にありました。

 

この通達のいうところを簡単にしますと、所得税法2条1項33号が事業専従者はだめですというところの事業専従者というのは、その配偶者(お父さん)又はその配偶者(お父さん)と生計を一にする居住者(息子)の事業専従者をいうのである、というのです。

 

息子の青色事業専従者であるお母さんについて、お父さんに配偶者控除の適用はないということになります。

 

なお、このことは配偶者控除だけではなく、扶養控除についても同じです。

 

この家族に外に働きに出ている娘がいたとして、お母さんについて扶養控除を受けようとしても認められません。控除対象扶養親族を定める所得税法2条1項34号も控除対象配偶者を定める33号と全く同じ文言で給料の支払いを受けた青色事業専従者を除外しているからです。

 

専従者給与はむずかしい

このように、事業専従者給与を払ってしまうと、その青色事業専従者について生計を一にする親族が配偶者控除や扶養控除を受けることができません。

 

事業がうまくいって所得がたくさん生じているときは良いのですが、そうでない場合は事業専従者給与を払うよりは、事業主以外の所得がある親族が配偶者控除を受けたり扶養控除を受けたほうが、家族全体の税金が少なくなる場合があるので注意が必要です。

 

青色事業専従者の場合、その仕事に応じた世間並みの給与を支払ったがために事業が赤字になってしまうということもあり得ます。

 

青色事業専従者の給与は、届け出た金額の範囲内で毎年見直し、場合によっては0にするべきでしょう。

 

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おことわり

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