今年も押し詰まりまして12月30日です。
税務署などの御用納めは28日で(e-Taxも29日から1月3日までお休み。不便です。)、
一方、大きなお店は31日まで営業したり、年中無休などというところもありますが、
個人商店は今日までというところが多いのではないでしょうか。
さて、個人商店はすべて、毎年1月1日から12月31日までの間の所得を計算して、
所得税の確定申告を3月15日までにします。
所得というのは、収入金額から必要経費を差し引いた金額が基本です。
そして必要経費には、売上原価とその他の必要経費があります。
売上原価というのは、小売業や卸売業であれば、その年の売上高に対応する商品の仕入高になります。そして、この「その年の売上高に対応する」商品の仕入高という売上原価の計算が、所得計算の肝なのです。
売上原価とは、その年に商品を仕入れた金額の合計額(仕入高そのもの)ではありません。その年に売り上げた、つまりその年にお店から出て行った商品の仕入金額の合計が売上原価となるのです。
売上原価は次の算式で計算します。
はい。次の試験に出ます!?
(前年の12月31日現在の商品の棚卸高)+(今年中の商品の仕入高)-(今年の12月31日現在の商品の棚卸高)=今年の売上原価
この算式の意味するところはこういうことです。
今年お店から出て行った商品には当然去年の在庫品が含まれている。
反対に、今年仕入れた商品でもお店から出て行かなかった在庫品は今年の売り上げには関係ない。
だから、今年の売上原価には去年の在庫を足し、今年の在庫を差し引く。
この計算によって今年お店から出て行った商品の金額が計算できます。
そしてこの「棚卸計算法」では、盗まれた商品や腐ったり壊れたりして捨てた商品の仕入金額も売上原価に含まれることになります。便利ですね。
そして、今年中の商品の仕入高は帳簿に記入してありますので、
調べなければならないのは12月31日現在の棚卸高(種類ごとの数量×単価)ということになります。
これはもう、商品の種類ごとに数量を数えるしかありません。
これこそが「棚卸し」です。
普通のお店では1日がかりの仕事になるのではないでしょうか。
新年にお店を開いて、商品の出入りが始まったらもう正確な棚卸しは困難です。
所得計算の肝、棚卸し。やるのは今でしょ。
なお、棚卸しにあたって、商品の種類ごとの単価は、
通常の場合、その種類の商品を最後に仕入れたときの単価を用います。
これを最終仕入原価法といいます。
今回は商売の基本の話でした。
でも、えてしてこの基本というものが、ないがしろにされがちなのですねぇ。
また、製造業や建設業では原材料の棚卸しのほかに、
仕掛品や仕掛工事の評価が売上原価計算のポイントになります。
これらについてはまた書きます。
最後に、私が税理士試験を受けていた頃には「たな卸」と言っていたのに最近は「棚卸」ですね。
いつ変わったのでしょう。そもそもなぜひらがなだったのでしょうか?